コラム

イタリアで囲碁を教えた時の話

ヨーロッパ碁コングレスとは

あれは2年前の夏、

イタリアはピサで行われた
ヨーロッパ碁コングレスに、
日本棋院からの派遣棋士として参加しました。

ヨーロッパ碁コングレスとは・・・
Wikipediaより⇩

ヨーロッパ碁コングレス(ヨーロッパごコングレス、英: European Go Championship)は、ヨーロッパ各国の選手によって行われる囲碁の大会。略称はEGC。全欧囲碁大会、欧州囲碁選手権戦、ヨーロッパ・ゴ・コングレスなどとも記される。1957年から毎年、欧州囲碁連盟加盟の各国の持ち回りで開かれる。各種トーナメント戦の他、親睦行事、プロ棋士による指導などが行われる、ヨーロッパ最大の囲碁大会。
例年、夏季バカンスの時期に2週間程度の期間でリゾート地にて行われ、プロ棋士から入門者クラスまでの数百人が参加する。ヨーロッパ以外の国からの参加者もある。

毎年、
ヨーロッパの各国持ち回りで
開催されるこの一大イベント。

なんと、
60年以上前から毎年
行われています。

ヨーロッパ各国は当然として、
世界中から大勢の
囲碁愛好家が集まります。

Wikiには数百人と書かれていますが、
僕の行った2018年の時は、
延べ1400人ほどの規模でした。


これは僕の行った回ではないですが、
規模的にはこんなイメージです。

日本では一日完結の大会がほとんどですが、
このイベントは2週間にわたって
ずーっとやっている、
というのも特徴です。

バカンスの文化がある
ヨーロッパならではなのでしょう。

持ち時間の長い大会、短い大会、
超ハイレベルなクラスから
初級クラスまでレベルも様々。

それらが広い会場で
同時並行で行われます。

ビールを一杯のむと一目もらえる、
「飲み比べ×囲碁」
で争う変わった大会などもあり、

全体的にリラックスした
雰囲気で楽しんでいます。

そしてこの時僕は、
2週間あるうちの、
後半の1週間滞在しました。

囲碁は言語を超える


僕の仕事はまず「commentary」という、
参加者の碁を講評することです。

「プロです」

ということを示すカードを
胸に下げてブラブラしていると、
希望の人が来るので、
検討用のエリアの碁盤で検討を始めます。


こちらはフランスのみなさん。
何度も講評を希望され、
毎回ドリンクをおごってくれました^^

ところで、言葉も通じないのに
どうやって講評しているかというと、

95%ジェスチャーです。

その人の打った良い手を
指差してニッコリ笑ったりとか、

悪手を打った瞬間、
冗談めかしつつ
「アチャーそこに打っちゃったか」
という顔をしたり、

「こうやられたら大丈夫?」
という雰囲気を醸し出しながら、
相手が気づいてないだろう手を示したりとか。

内容は、ほぼほぼ指差しと
石を並べたり動かしたりで通じます。

残りの5%はカタコトの英語で、

「ディス ストーン イズ ベリーインポータント!」
「ディス ムーブ イズ グッド(バッド)!」

とかはかなり使いましたね(笑)

こんな感じでも、
講評していると周りに人が集まってきます。

「囲碁は言語を超えたコミュニケーションツール」

と言葉ではよく言いますが、
本当にそうだなーと深く実感できた、
とても貴重な経験でした。

色んな国の人との交流


そしてもちろん多面打ち指導碁も。

余裕があんまりなかったので
写真は少ないですが、
イメージが伝われば嬉しいです。

期間中、
一日お休みをもらって観光した以外は、
1週間ひたすらこれを繰り返していました。


こちらはクロアチア代表と撮った記念写真。

この時まで、韓国に5、6回、
中国に1回行った程度の海外経験でしたが、
いきなり色んな国の人との交流ができました。

軽いノリだったスペインの兄ちゃん。

かわいいイギリスのおじいちゃん。

イタリアのテンション高いお姉さん。

「私の石を取っちゃダメよ」
と言いながら指導碁に来たドイツのおばさま。

扇子にサインを求めてくれたウクライナの少年。

日本語も達者だったオランダのファミリー。

いい味出していたエストニアの親子。

などなどなどなど・・・
言語も違えば文化のバックボーンも
様々なこういった方々と、

囲碁さえあれば交流できる!!

今回のまとめ

ということで、

・海外でドンドン囲碁愛好者は増えている
・日本にはないイベントの形、楽しみ方がある
・囲碁はマジで言語・文化を超える

ということをお伝えしたかった記事でした。

あと、日本では囲碁といえば、

「波平さんや友蔵さんが畳でやっているイメージ」

とかが根強いんじゃないかと思いますが、
ヨーロッパでももう60年も
こんなイベントがあるということは、
もっと知られていいんじゃないかと思っています。

ヨーロッパ碁コングレスは、
コロナがなければ2020年は
ウクライナで行われ、

自分も参加する予定だったんですが、
当然ながらそれどころの騒ぎ
じゃなくなってしまい、残念です。

いずれコロナが終焉、
イベントが復活して参加した暁には、
その様子を撮影してYoutubeで流したいと夢見ています。

 

〜おまけ・イタリア プチ見聞録〜


会場、及び宿は、かの有名な「斜塔」の近く。
空き時間に見物にいきました。


夜の時間に予約して、登りました。

中は螺旋階段なのですが、
北側を登っているときと南側を登っているときに傾き方が違うので、
不思議な体感があります。


斜塔からの眺め。


観光した街の一つ。「塔の街・サンジミニャーノ」


遠くから見たサンジミニャーノ。日本にはない風景。

塔の展望台からの景色。


イタリアといえば、ジェラート!


観光した街2、「天空都市・ボルテッラ」

人の気のないところばかり撮っていますが、
カフェとかお土産もの屋とかもあり、
賑わっていました(笑)


スーパーでは、タイヤのついた大きめのカゴで買い物します。


初めて一人で入ったカフェ。

読めないメニューが並ぶ中、
唯一読めた、マルゲリータピザと水を注文。

「ビッグオアスモール?」

的なことを聞かれ、
お腹が減っていたので
「ビッグ!」
と答えました。


でかい水が来ました。

・・・そっちかい!


そして普通サイズのピッツァを頂きました。

ご飯はどれも美味しかったんですが、
よく言われる通り、日本食は恋しくなりますね。

数日居たあたりから、
ひたすら「うどん」が食べたかったです。

「ダシが効いたヤツが食いてぇ〜」
と思ってました(笑)

ちなみに、朝食は宿で出ましたが、
毎朝、チョコのタップリ入ったパン(その他、とにかく甘いパン)
と、少々のハムとコーヒーでした。

朝は甘いモノを食べる文化らしいです。


同じ宿に泊まっていたメンバーの記念写真。
顔を隠してないのは棋士で、
左から林耕三六段、白石京子四段、僕、新海洋子六段。

僕が肩を組んでいるのは宿のご主人。
陽気なイタリアのおっちゃんでした。
一番右がその奥さん。

ちなみにここが朝食会場。

コングレス閉会式の様子。

前のステージで表彰式はもちろん、

バレエなどの出し物も多数。

このあたりも文化の違いを感じました。

ちなみにこの後、
この二人の女の子のうち一人が
ズッこけたんですが、
おもむろに立ち上がって平然と踊り続け、

終わった後も
ケロッとしてたのが印象的でした。


会場からホテルへ帰るときの道すがら、
夕陽が綺麗だったので撮りました。

滞在したピサ以外は、
行く前まで知らなかったような
街を案内してもらい、

逆にローマとか有名どころを
全然観光しなかったので、
また機会があれば
行ってみたいと思っています。

POSTED COMMENT

  1. カイちゃん より:

    大変分かりやすく、長すぎないのが全くの初心者でも引き込まれました。
    海外での囲碁会、素晴らしい文化交流ですね。
    私も囲碁を勉強して、英語はブラッシュアップして助手の助手位で同行したい位です。(笑)夢

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